物語 Story

各単行本ごとに全収録話のあらすじをまとめた、作品のストーリー紹介です。『TRUE END』1〜3巻(3巻はネタバレ回避のため未公開)/新装版『ディエンビエンフー』/「第二部」IKKI版7〜10巻/そして黒歴史「第三部」IKKI版11、12巻すべてを公開しています。「Character」と照らし合わせれば物語の概要が伝わると思います。

 

一部分はニコニコ動画で試し読みもできます。

http://seiga.nicovideo.jp/comic/25591

双葉社のマンガアプリ「マンガリーフ」でも公開がスタート。


TRUE END(双葉社)

『ディエンビエンフー TRUE END』第1巻(双葉社)

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#1 終わりと始まり「心のピュリッツァー賞第1位。彼女は今どこに?」

1970年ベトナム、1968年のテト攻勢以降失踪していたヒカルは「逃亡罪」と

「スパイ容疑」で営巣の中にいた。特例により軍法会議なしに釈放され、久しぶりにサイゴンの街を楽しむヒカル。初めてベトナムを訪れた1965年をやり直すかのように、報道部のカメラマンとして作戦同行したヒカルは、そこで再び「お姫さま」に遭遇。またしても心を撃ち抜かれた。

 

#2 闇の奥 「変わり果てたな。しかし、生きていたか」

超法規的にヒカルを営巣から連れ出したのは、生死の境を自力で生還したヤーボ大佐だった。ヤーボ、山岳民族とともに失踪したティム・ローレンスをを探すという極秘任務に駆り出されるヒカル。哨戒船に乗り、メコン河を辿り隣国カンボジア国境へ。クメール・ルージュが跋扈する闇の奥で、変わり果てたティムに遭遇する。

 

#3 揃い踏み 「それが戦争と言えるか? 命をかけた誇り高き戦いと?」

1966年イアドラン渓谷の戦い、アッテンボロー作戦での敗北を回想するヤーボ大佐。頭の中を、野良犬たち、そしてティムが去来する。一方、ベトナムの独立のために日々修行を怠らないおばあちゃんと、お姫さま。そして闇の軍団を率いる「仮面の男」ティム。三勢力が揃い踏みする。

 

#4 幻影 「アポロ計画で人を月面に送ったって? 月面人でも見つけて戦争していればいいド」

 三つ巴の激しい戦いの中、ヒカルだけが唯一能天気に「和平」を提案するが、おばあちゃんにぶん殴られダウン。激しい戦いの中、1968年テト攻勢の記憶が交錯する。

 

#5魔法的 「このベトコンの小さなバアさんは米国にとってのベトナムと同じ。底が知れない」

 おばあちゃんとヤーボの一対一の対決。「ドドドドドドドドド」とプレッシャーをかけるおばあちゃんに、ヤーボ大佐は超常的な必殺技「索敵撃滅(サーチ・アンド・デストロイ)」「轟く雷鳴(ローリング・サンダー)」で対抗するが...。

 

#6 最後の野良犬「もしオレがこんなデブじゃなくて、最高のコンディションだったら」

おばあちゃんとの死闘で深手を負ったヤーボ大佐は、あの日、かつて同じようなシチュエーションで敗れたアッテンボロー作戦のように大地に突っ伏してしまう。しかしヤーボの目的は別にあった。「あの日」をロールプレイにより再現することで、ティムの記憶を取り戻すこと。ヤーボの死闘を目の当たりにし、記憶を取り戻したティムは、ヒカルともに北ベトナム強制収容所「ハノイ・ヒルトン」に収監される。


『ディエンビエンフー TRUE END』第2巻(双葉社)

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#7 彼女はここで生まれた「つまり・・・ハノイ・ヒルトン最高!!」

1972年5月、北ベトナム。ヒカルがベトナムにやってきて気がつけば7年。収容所暮らしを楽しむヒカルと反対に、ティムは独房でひたすら修行に励む日々。舞台は変わり1954年のディエンビエンフー要塞。フランス領インドシナ時代のベトミン対フランス軍の最終決戦。その戦いの最中でお姫さまは生まれた。

 

#8 査問 「大佐にもらったこの命、燃やし尽くす時が来た」

収容所内の地下独房での修行を完了したティムは満を持してハノイ・ヒルトンを脱出。一方のおばあちゃんは、北ベトナム労働党査問会に出廷。真の目的が、共産主義国家ではなく旧グエン王朝の復権にあるのではないかと疑われる。

 

#9 切り札 「南ベトナムという国は押しつぶされ、統一の後消滅する。ベトナムは何によって統べられるべきか?」

 ハノイを脱して中部のダナン・ビーチへ。「ジャグル・クルーズ」を続けるティムとヒカル。一見楽しい旅だか、ティムは米軍から見放され探索もされない状況を「幽霊」と例え、アッテンボロー作戦でヒカルが失ったカメラをポケットから取り出す。(※2巻P.108のカメラについての台詞「ライカM3」は誤植。正しくは「コンタックスⅡ」

 

#10 夢かうつつか 「覚えとけ。ああいうお金で動かない人間が、一番怖い」

瞬くように時は進み1972年2月。米軍完全撤退が迫る状況下、テト明けのサイゴンでおばあちゃんは幼き実業家ニューと会談。ヒカルとティムは旅を続けるが、そこにお姫さまが合流。どうやら道中でティムに気づかれずヒカルはお姫さまと密会を続けていたらしい。

 

#11 楽しい 「お姫さま・・・あんたはどれくらい強くなった?」

南ベトナムのクチにてティム対お姫さまの戦いが始まった。地下トンネルという地の利を生かし、ハイ・バー・チュンのような分身攻撃を繰り出すお姫さま。リベンジに燃え戦うティムは、ついにお姫さまの腕を捕らえる。

 

#12 罰 「おいおいおいおいおいおいおいおい」

戦いの現場にニューの兄バオが現れる。地雷を踏み両足を失ったバオは、おばあちゃんの密命の元、解放戦線の工作員として北に南に暗躍していた。死闘の果て。二人はまだお互いを知らない。物語は残りわずか1ヶ月、完結第3巻へ続く。


『ディエンビエンフー TRUE END』第3巻(双葉社)

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#13 宴の終わり「ひとつの地獄が終わって、また別の地獄が始まるだけ」

1973年3月南ベトナムサイゴン。「戦争の終わり」「米軍の撤退」を察したサイゴンの人々はそれぞれに準備を整える。グエン王朝の回想とともに、おばあちゃんの仕込み杖のルーツ、そして「お姫さま」をフランス語なまりで呼ぶ理由と血筋が明かされ、ザーロン帝の杖はお姫さまに託された。北ベトナム労働党からの刺客がおばあちゃんを襲う。

 

#14 結婚「ありあまる富が灰になる瞬間を待ってる」

ヒカルは米軍撤退最終便には合流せずやり過ごそうとするが、ヒカルをお姫さまの夫とは認めないおばあちゃんは執拗にヒカルを殺そうと試みる。ヒカルをめぐってお姫さまvsおばあちゃんの最後の戦いが始まった。

 

#15 最終決戦「来い最終兵器!!

ホアンキエム湖の亀に要請し、おばあちゃんの元に最終兵器「レ・ロイの大剣」が届く。ザーロン帝の杖とレ・ロイの大剣、王朝も時代も調節した最終バトルが始まった。ベトナムを統べるのは誰か!?

 

#16 営み「ティム・ローレンスからのことづけさ

おばあちゃんvsお姫さまの戦いの最中、解放戦線によって拉致されタンソンニュット空港へ移送されるヒカル。バオはそれを見逃さず、死に際のティムから託されたカメラ「コンタックスII」を手渡し、ベトナムを去るか留まるか決断を迫る。

 

#17 完全撤退の日 「男の趣味が似てる!!

ついに訪れる1973年3月29日、その瞬間。「またやった」「アホで〜」「手だゾォ〜」

 

#18 本当の戦争の話をしよう「2人はまだお互いを・・・いや・・・

ネタバレを避けノーコメント。ご愛読Xin Cam On.


第一部(双葉社新装版)

新装版『ディエンビエンフー』第1巻(双葉社)

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#1 終わりと始まり19651月。2人はまだお互いを知らない」

物語の始まりにして終わり。米軍が完全撤退する1973329日にお姫さまとヒカルは手を取り合い爆死する。このシーンは繰り返しフラッシュバックのように物語で繰り返される。単行本収録冒頭4ページは、雑誌掲載時のカラー原稿をモノクロに差し替えたものであり、繰り返しは単行本化時点で始まっている。お姫さまとヒカルは出会った。しかし「二人はまだお互いを知らない」。

 

#2 2人の家族 「ドロボードロボーいうけどさ、オイラにしてみりゃアンタたちこそドロボーだよ」

 バオとニュー。戦時下のサイゴンに暮らすストリート・チルドレンの兄妹が初登場。少年バオは貧困の中、米軍宿舎への爆破テロを試みる。この二人は物語を通してボロボロになりながらも、時に物乞い、テロリスト、武器商人、さらには格闘技大会「胡志明杯(ホーチミン・カップ)」興行主として、知恵と大胆さで生き抜く。

 

#3 森の中で 「こんなことできるやつがここ(ベトナム)にいる。胸がドキドキする!」

ベトナム戦争エスカレーションの始まり。編集長の命令でベトコン(南ベトナム民族解放戦線)を探し出す偵察部隊に同行したヒカルは、お姫さまのトラップが張り巡らされたジャングルの中でただ一人生き残り、グリーンベレーの戦士ティム・ローレンスと出会う。

 

#4 脱走計画 「ねえ、知ってる? JF・ケネディのアポロ計画。僕の国はこんな戦争やりながら人間を月面に着陸させようとしてるんだ。すっげー」

ニャチャン基地からヒカルに召集命令が届く。スパイ容疑がかけられていると察したヒカルはバオと一緒に脱出計画を企てるが、米特殊部隊の一団に阻まれる。ヒカルはティムに再会。ヤーボ大佐、ライトニング、そして「野良犬たち」米軍特殊部隊がそろい踏みする。

 

#5 野良犬たち 「君はいくつだ?」「19歳です」「見えないな。まるで子供だ」

ヤーボの命令によりティム率いる「野良犬たち」はお姫さま探索に出発。お姫さまの惨殺現場から生還した唯一の人物としてヒカルも同行する。お姫さまと探索のジャングルクルーズが始まる。

 

#6 傷ついた虎 「野良犬に主などいない」

野良犬たちが寝ている夜に、パク・メンホとお姫さま一対一の死闘が繰り広げられる。唯一の目撃者は眠らないインソムニアだけ。ホワイトチャペル通りでの若きヤーボと幼いティムの出会いも描かれる。ミンチが何の活躍もないまま死亡。


新装版『ディエンビエンフー』第2巻(双葉社)

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#7 魔法陣 「死角なし。回避不能。360度全方位からのクレイモア地雷の雨。700×36個=25200発」

お姫さまの強襲により一晩で、ミンチ、カリフラワーのじじい、ダンニャワード野良犬たち三人が死亡。ヒカル愛用のライカM3はカリフラワーが繰り出したクレイモア地雷によって粉砕される。

 

#8  大いなる神秘 「ここは不思議の国(ワンダーランド)なんだ。あらゆる科学的統計学的な試みがここでは通用しない」

野良犬たちリトルは瞑想によって未来を占う。瞑想の中で視たのは「ティムが頭部を貫かれ死亡する」というビジョン。またヒカルのことを、ネイティブ・アメリカンの言葉で聖なる道化を指す「ヘヨカ」だと知る。ティムは幼少の記憶を取り戻しバッドトリップ。

 

#9 死ぬのにいい日 「死はもうひとつの現実を生きること」

瞑想中にバッドトリップし弱い部分を垣間見せたティム。生きること、戦うことについて珍しく野良犬たちメンバーリトルと語り合う。「今日は死ぬのにいい日」と覚悟を決めたリトルとお姫さまとの一騎打ちが始まる。

 

#10 戦うべき場所 「あたしゃ好きだよ。この居留地も、ジョン・ウェインの映画も、エルビス・プレスリーも」

弓と鉈、原始的な武器で戦うリトルとお姫さま。リトルは赤子のような鳴き声をこだまさせ死亡。ヒカルと生き残った野良犬たちはプレイク基地へ辿り着く。

 

#11 愛と資本主義 「このままいくと合衆国はベトナムに二つ目のディズニーランドを作りかねないぜ」

サイゴンでは浮浪児のニューが事業を成功させ大儲け。一方、戦争特需が気に入らない兄バオは南ベトナムの秘密警察に捕まりリンチに合う。ニューは金に物を言わせバオを救出する。

 

ヤーボの命令によりティム率いる「野良犬たち」はお姫さま探索に出発。お姫さまの惨殺現場から生還した唯一の人物としてヒカルも同行する。お姫さまと探索のジャングルクルーズが始まる。

 

#12 そして戦争が始まる 「オマエさんは救うより殺すほうがたくさんの人を生かせる」

米陸軍特殊部隊プレイク基地に駐留するヒカル、ティム、野良犬たち。ディン、トンの抗仏戦争を生き抜いた将軍たちが率いる北ベトナム軍正規軍は、プレイク基地侵攻の準備を整える。


新装版『ディエンビエンフー』第3巻(双葉社)

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#13 彼はここで死んだ 「なんだぁあのガキ!? やるぅ」

19651019日、ディン、トンが率いる北ベトナム正規軍がプレイク基地を強襲。南ベトナム民族解放戦線のおばあちゃん、お姫さま、ディンも合流し、高原地帯を舞台にかつてない大規模な戦闘が始まる。

 

#14 レンズの中 「戦場においてもっとも場違いな存在。それが戦場カメラマンだ」

戦闘を傍観するインソムニアは「優秀なカメラマンは優秀なスナイパーになれる」とヒカルに自説を語りながら、お姫さまに惨殺される。ヒカルと再会を果たした喜びもつかの間、ティムとの対決が始まる。

 

#15 もっとマシな戦争 「まさか!?全身の細胞が言ってんのか!?逃げろって」

「圧倒的な力の差」によって、指先ひとつ動かせないままにティムはお姫様に敗退。回想によってティムが初めて殺した相手が母だったことが明かされる。北ベトナム軍を指揮するトンは、瀕死のティムにとどめを刺そうと大鉈を振り上げる。

 

#16 恐怖が舞い降りる 「ぱっぱららーら、ぱっぱららーら」

ティムの窮地にヤーボ大佐とライトニングがヘリコプターで強襲。「ワルキューレの騎行」をBGMに米特殊部隊最強の男が、おしっこちびりながら舞い降りた。 

 

#17 戦意喪失 「絶対にかなわないとわからせること。それが恐怖だ」

ヤーボ大佐はトン圧倒。ライトニングとの残虐な連携技でトン将軍を肉片にし、回りを囲む北ベトナム軍を恐怖の底にたたき落とす。お姫さまただ一人がヤーボに戦いを挑む。

 

#18 戦争は終わらない 「中国と千年、フランスと100年戦ってきたのがベトナムだド。どう考えてもこの戦争負ける理由がナイ」

トンを倒し、お姫さまを仕留めようとする最強のヤーボの前におばあちゃんが登場。すさまじいプレッシャーを放ちヤーボを精神的に圧倒(通称「ドドドアタック」)し、立ち去る。生き残ったの野良犬たちは、瀕死のティムと通信兵ジャジャマルだけだった。。単行本9集で詳細に描かれるフエ王朝が一瞬登場、ベトナム戦争終結後の未来197812月カンボジア戦争へ赴く義足(両足)のバオも登場。


新装版『ディエンビエンフー』第4巻(双葉社)

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#19 三年間の奇跡 「たった3年の独立。たった3年の奇跡。しかし彼女たちの精神は受け継がれていく。ベトナムの民の心の中に。2千年に近い時を経てもなお

冒頭の紀元41年ハイ・バー・チュンの独立運動から飛んで物語の舞台は1966年のサイゴン。ニューは自社ビルを建て、バオはヤーボ大佐のスカウトで山岳民族から編成される部隊に同行することになる。

 

#20 山岳の50人 「でもさあ、野蛮じゃない殺しなんあるかな?」

山岳の50人とともにお姫さまの探索に出発するヒカル、そしてバオ。北ベトナム軍の智将ディンは死んだトンのマントを左腕に巻きつけ復讐を誓う。バオは「腐ったミルク」と呼ばれスパイとして暗躍する。

 

#21 北に生まれ南に死ぬ 「だから怖い。山岳民族の貧しさはわれわれの貧しさ」

山岳の50人と北ベトナム軍第32・33合同連隊の総力戦が解放戦線勢力の支配地域Cゾーンにて始まる。裏の裏をついた山岳民族の航空支援により、ディン率いる北ベトナム軍は全滅。

 

#22 絶望の度合い 「無茶しやがる」

山岳の50人とディンとの戦いが決着。激闘の最中、1960年フランス領インドシナ時代のディンの幼少期と淡い恋も描かれる。黒い三連華初登場。

 

#23 追憶の林邑(チャンパ)国 「山岳に生まれたクソみてーな人生……殺るだけ殺って死ねりゃ本望」

山岳の50を通してかつてあった王国チャンパ国が描かれる。ティムは復活の兆しを見せ南ベトナム各地に暗躍。テウ&レウ双子の兄弟はついにお姫さまと対峙する。

 

#24 再会 「最初から絶望の外側にいる」

お姫さまと49人の山岳民族との戦い。圧倒的な強さの前にララは自死を願うがそれもかなわない。山岳の50人が退場し、入れ替わるようにティムが完全復活。ヒカルが生まれた瞬間194586日原子爆弾(リトルボーイ)の炸裂が挿入される


新装版『ディエンビエンフー』第5巻(双葉社)

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#25 倫敦(ロンドン)の怪事件 「来るか? 一緒に。君がもっと君らしく生きられる場所」

ティム対お姫さまの戦い。プレイク基地の戦いで一度はお姫さまに破れたティムは「死」を経験し強くなり、対等に渡り合う。物語は11年前に飛び、1955年ロンドン、ホワイトチャペル通りでの若きヤーボと幼いティムとの初対面も描かれる。

 

#26 記憶の底 「生きるために殺した。可哀想に……可哀想な子……

ティムとお姫さまの戦いは白熱。ヒカルは一人置いていかれた気分に。1955年フォートブラッグ基地では訓練中の幼いティムが、精神科医のミス・グロスマンを殺害。グリーンベレー採用のエピソードも。

 

#27 覆面の下の心 「その瞬間、心を隠した。過去と想いをフクメンの下に忍ばせて」

ティムの危機にヤーボ大佐はジャジャマルの通信兵としての任を解く。回想として挿入されるのは1957年アメリカ、ノースカロライナ州ブルーリッジ山脈でのジャジャマルとティム出会い。そしてジャジャマル対お姫さまの戦いが始まる。

 

#28 最後の忍法 「ティムに救われたこの命、かける価値はある」

ジャジャマル対お姫さま戦。瀕死のティムを救う救護ヘリが来るまでの15分間を稼ぐために、手裏剣、煙幕、鎖鎌そして「忍法全部盛り」とジャジャマルはあらゆる忍術を繰り出す。

 


 

#26 記憶の底 「生きるために殺した。可哀想に……可哀想な子……

ティムとお姫さまの戦いは白熱。ヒカルは一人置いていかれた気分に。1955年フォートブラッグ基地では訓練中の幼いティムが、精神科医のミス・グロスマンを殺害。グリーンベレー採用のエピソードも。

 

#27 覆面の下の心 「その瞬間、心を隠した。過去と想いをフクメンの下に忍ばせて」

ティムの危機にヤーボ大佐はジャジャマルの通信兵としての任を解く。回想として挿入されるのは1957年アメリカ、ノースカロライナ州ブルーリッジ山脈でのジャジャマルとティム出会い。そしてジャジャマル対お姫さまの戦いが始まる。

 

#29 二人なら最強 「やめた……大佐手伝って!!」

ジャジャマル渾身の一撃は通じず、「ジャスミン」という女性名を明かし死亡。圧倒的なお姫さまに対しティムはヤーボ大佐との合体技で挑む。必殺技「はにゃーん砲」が初登場。

 

#30 待っているのは死 「さぁ、始めよう。三人で。マシな戦争を」

ティムとヤーボの連携技はお姫さまを追い詰める。ヒカルとバオは蚊帳の外。お姫さまの危機に隣国カンボジア領内からソ連製のミサイルに乗っておばあちゃんが駆けつける。


新装版『ディエンビエンフー』第6巻(双葉社)

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#31 その感情 「やってろよ超人バトル。オイラはゴメンさ……降りるぜ」

おばちゃんの提案により、ティムとお姫さまは一対一で勝負をつけることに。ジャジャマルから受け継いだ忍術などを繰り出すティムだが、お姫さまに左腕を切断されてしまう。アッテンボロー作戦終結。

 

#32 お互いを知らない 「どこまでつぎこめば気が済むド? ベトナムにその気はないド」

ティム対お姫さまの戦いは決着。おばあちゃんが戦いを「フラれたまま」「脈がない」と総括。ヒカルはそのままお姫さまたちに同行。またしても敗れたティムを背負い立ち去ろうとするヤーボをおばあちゃんの仕込み杖が襲う。

 

#33 母にもなろう 「なぁ、ティム君のためなら、父にも、いや、母にもなろう」

手負いのヤーボ大佐は600人の解放戦線残党に強襲される。戦いの中おばあちゃんに受けた傷口が開き、ヤーボはベトナムの大地に始めて倒れる。遠く離れたニャチャン基地ではこの危機を察知し、米陸軍特殊部隊犬のアーロンが走り出す。

 

#34 告白 「決着つけてこいや。ティム、はにゃーん砲でいくぞ」

瀕死のヤーボ大佐の下からティムが這い出てくる。正気を取り戻したティムは初めて自分のお姫さまに対する恋心を知る。「はにゃーん砲」を繰り出しヤーボは絶命。告白の時が訪れる。 

 

#35 段階的拡大(エスカレーション) 「いや、そうじゃなくて。伝えなくちゃ、ちゃんと。好きって」

立ち去ろうとするヒカルとお姫さまの前にティムが立ちはだかる。自分の気持ちをうまく表現することができないティムは、死闘の果てに奈落の底へと落ちていく。インソムニアから譲り受けたツァイス社コンタックスを失ったヒカルは「やっぱり優秀なカメラマンじゃない」とつぶやく。

 

#36 決められた結末 「怖れることはない。すべては決定されたこと……。いや!? 違う!? 未来は決定されていない!? だとしたら……

奈落への落ちてくティム。野良犬たちは大敗を喫し全滅。走馬灯の中、1975年既に米軍が去ったサイゴンに入城する北ベトナム軍や、1968年テト攻勢に出撃する黒い三連華、カンボジアの地獄の軍団などの未来が映し出される。第一部完結、『TRUE END』へ続く。


第二部(小学館旧IKKI版)

IKKI版『ディエンビエンフー』第7巻(小学館)

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#37 戦争がおわったら 「打倒帝国美(ダー・ダオ・ディー・クォク・ミー)」

19672月の旧正月より始まる第二部。ヒカルは米陸軍の所属を離れ、ベトナム中部クアンガイ省の村で暮らし始める。お姫さまは一年後のテトに再会するという約束をし、修行のために中国へ渡る。

 

#38 西貢哀歌 「大佐もティムもいない世界ーーベトナム」

テ南ベトナムサイゴンに帰還したバオは街の不良達を率いて愚連隊「西貢哀歌」(サイゴン・バラード)を結成。仲間を失ったライトニングは呑んだくれる日々。1968年1月1日ホー・チ・ミンはラジオ放送で春の句に託し徹底抗戦を訴える

 

#39 まだ愛することを知らない 「1945年8月15日の玉音放送。あの絶望以来...幾度この日を待ちわびたことか」

1968年テト攻勢まで20日。お姫さまは中国で修行、三連華はクアンガイ省で兵士を育成、ヤスクニさんは日本人街ホイアンにて「テトに神風を吹かせる」ことを決意。それぞれが決戦への準備を整える。

 

#40 冷めぬ想い 「まーもるもせーむるもくーろがーねのー」

ヤスクニが解放戦線に合流し、ヒカルは最低階級二等兵以下の「三等兵」として補佐に就く。ワシントンポスト「殺すな」広告を毅然と否定するヤスクニ。サイゴン市内ではニューがマジェスティックホテルを買い占めるなど、大戦闘の準備が極秘裏に整っていく。テト攻勢まであと10日。 

 

#41 決戦前夜 「嫁もいないのにヤンパパカ。まいったぜ。また逃がしちまったな、婚期」

テト攻勢が残り1日まで迫る。ズオンがティを拾った1959年の回想には、幼い三連華が登場。この時ロン9歳、ノル7歳、ティ1歳。太平洋戦争に出兵する直前の23年前のヤスクニも親友とともに登場。

 

#42 夜明け前 「蒼龍より入電。トラトラトラです。我奇襲に成功せり」

1968年1月30日テト攻勢作戦開始。蒼龍を率いるロンは聖マリア教会から米大使館を攻略、占拠する。ノル率いる飛龍はクチトンネルに展開。しかし、新年を祝う爆竹の煙が立ち込めるサイゴンに、ヤーボ大佐級に巨大な影が降り立つ。


IKKI版『ディエンビエンフー』第8巻(小学館)

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#43 鮮血の解放旗 「なんて数の黒パジャマだ。ちょっと待てうわ…what's goin on!?

突入する西貢哀歌、サイゴン河から上陸するヤスクニ率いる「赤城」部隊。しかし米大使館を占領したかに見えたロンは血祭りにされ大使館の星条旗に磔にされる。ストレスゆえに見違えるように太ったライトニングの巨体が、解放戦線に立ちふさがる。

 

#44 神風は吹く 「案ずるな。神風は吹く」

物語は1274年へと飛び、元寇を追い返した「神風」が描かれる。しかし「瑞鶴」部隊として中国から駆けつけるはずのお姫さまはいまだ中国で修行中。ヤーボ級に強いライトニングに対し、ロンは捨て身の自爆攻撃に出る。

 

#45 「ったく。女の顔に戻っちゃうよぅ」

爆風の中ヒカルはロンの自分に対する秘めた思いを知り「なんとなく流れで」キスしてしまう。上空に現れたのは、分身攻撃「ハイ・バー・チュン・アタック」で中国とサイゴンに同時に出現したお姫さま。一年ぶりの再会したヒカルの浮気を目の当たりにしたお姫さまは戦線離脱。テト攻勢は総崩れとなる。

 

#46 初恋「そうか……これが恋か」

南下してきたパンツァー突撃少女隊「飛龍」を率いるノル。ロンの死を目の当たりにしライトニングに襲いかかるが、その瞬間これまで感じたことのない自分の感情に気づく。恋。霧がサイゴンを包み解放戦線は散り散りに。敗走が始まる。

 

#47 決定的瞬間「マシュー・ブレイディが、キャパが泣くぞ」

テト攻勢明け血まみれのサイゴン。取り残されたヒカルは星条旗新聞編集長と再会するが、写真家、部外者としての「レーゾン・デートル」を責められてしまう。歴史的な決定的瞬間においてもカメラを持たないヒカルはただ無力。編集長はヒカルを呪い、自殺する。

 

#48 敬虔さ この生涯でただひとり愛し、その血を身ごもった道ならぬ恋。ベトナムの最後の皇帝(ラスト・エンペラー)クオン・デ」

物語は飛んで7年後、1975年の南北ベトナム統一世界が描かれる。おばあちゃんは滅んだ王朝グエン朝の末裔クオン・デ候との淡い恋を思い出す。三連華ティは戦線離脱。ロンの自爆で片目をえぐられたライトニングはチビネコとともにフエ攻略を準備。かつての王都フエを舞台に戦いは続く。


IKKI版『ディエンビエンフー』第9巻(小学館)

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#49 明命帝 「即位初日からいきなりコレか。やれやれ。この王宮には蛇が巣食っているな」

テト攻勢から時はさかのぼり1819年の輝かしきフエ王宮。グエン王朝の開祖ザーロン帝が死去。継承権を持っている長兄カインは選ばれず、次期皇帝として弟ミンマン(明命)が即位する。「永劫を生きる魔犬」ことフンも登場。

 

#50 嘉隆帝の末裔 「不満なんてなにひとつない。これが僕の暮らす世界のすべて。ああなんてリア充」

グエン朝の成立から約100年後、フランス領インドシナの時代。グエン朝はフランスの傀儡となり、ザーロン帝の血を引くカイン系の四代目クオン・デは退屈だが満ち足りた生活をフエ王宮で送る。若いおばあちゃんは独立活動家ファン・ボイ・チャウと知り合う。

 

#51 東遊運動 「そのステップはまるでバレエのようでなんて自由」

謎のメイドさんとファン・ボイ・チャウの手引きにより、クオン・デはベトナムを捨て日本への亡命を決意。一方1968年のテト攻勢後のベトナムでは、お姫さまに失望されふられたヒカルが「幽霊」のように放浪していた。

 

#52 天女の誓い「よくぞ逃げ延びた。あえて訊くぞ娘よ。オマエは何をしていた?」

フォン河を望むティエンムー寺。テト攻勢サイゴン戦の大敗を知ったズオンは、三連華ノルに対し厳しく叱咤し、ノルは天女(ティエンムー)に勝利を誓う。北ベトナム軍はフエ王宮に篭城し、チビネコ率いる米戦車隊が対岸に集結。攻防戦が始まる。 

 

#53 香江を渡れ「世界遺産級の王宮だぞ。これ以上壊すのもヒドいだろ」

チビネコ率いる戦車隊とノル率いるパンツァー突撃少女隊がフォン河上で激突。橋をひとつを犠牲にしてノルが快勝するが、天空からライトニングがパンツ一丁の舞い降りる。

 

#54 日本へ「ぱんつ。ぱんつ。ぱんつ。ぱんつ」

フォン河上フースアン橋でノルとライトニングが対決。ライトニングは戦局的にも恋愛的な意味でも相手を完全に陥落させる。時はさかのぼり1905年、おばあちゃんのだまし討ちによりクオン・デは亡命する。1968年米軍の手に落ちたかに見えたフエ王宮に巨大な地響きが轟く


IKKI版『ディエンビエンフー』第10巻(小学館)

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#55 諸行無常 「何だっけ? こういう気分。ああそうだ。諸行無常」

地響きを轟かせてフエ王宮にズオン率いる僧兵象戦車隊が突入。米戦車隊を蹴散らす。ライトニングを倒しチビネコも瞬殺したズオンの前に、敵側に寝返る形となったノルが現れる。父として思わずノルを殺してしまったズオンは、無常を感じガソリンをかぶって自死する。

 

#56 幽霊の帰還「二人生き残ってしまったな。ヒカル三等兵」

攻防戦が終結し瓦礫と化したフエ王宮でおばあちゃんは一瞬クオン・デとの思い出に浸る。さまよえるスナイパーと化したヒカルは森の中でヤスクニと再会。クアンガイ省「ソンミ村」に帰還する。

 

#57 「なんという屈辱。米国の属国と成り果てたのか。帰るべき場所もない。帰るべき時代も」

ヤスクニ直伝の海軍カレーを小連華たちにふるまい、束の間日常を取り戻すヒカルたち。しかし運命の日、クアンガイ省ソンティン県ソンミ村ミライ第四地区にウィリアム・カリー小隊が迫る。小連華アンが死亡。

 

#58 あるがままの現実STOP THE KILLING.STOP THE VIETNAM WAR.

残り二人となったチビッコ小連華はヒカル直伝の(ニセ)空手殺法でカリー小隊に立ち向かうが、あえなく射殺。ヒカルは残虐行為を止めようと割って入るが、ジャーナリスト=部外者故の無力さを思い知る。取るに足らない日常のように虐殺は続く。

 

#59 零距離「ヒカル三等兵喜ぶがいいい。我らは狂っていない。ベトナムが狂っているのだ」

殺戮を止めようとついにヤスクニが立つ。抜刀しようとするも、ヤスクニいわく「天皇陛下から賜った」という刀は錆付いて抜けない。凶行を逃れたヤスクニは自らの命をかけてベトナムが狂っていることを実証し、後に死ぬ。ヒカルの回想にはジャヤマル、インソムニアが登場。

 

#60 予兆「わたしが愛した相手。脱走兵の黒人(ニガー)。ナニはデカいのに気が小さい」

ソンミ村唯一の生き残りとなったヒカルは心を失い闇の奥へと消える。テト攻勢のサイゴン以来姿を消していたお姫さまは中国国境付近で三連華の生き残りティと再会し、ヒカルを思う気持ちに気づく。1968年テト攻勢明けに地雷を踏み両足を失ったバオは、ドクター・メンゲレ率いる「鮮血の医療団(ブラッディ・メディック)」治療室で目覚める。ティムはカンボジア国境でかろうじて生存。ヤスクニは英霊になれぬまま死亡。登場人物それぞれがばらばらになり第二部完結。


第三部(黒歴史旧IKKI版)

IKKI版『ディエンビエンフー』第11巻(小学館)

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#62 怪物たち 「つまり医療によってすべての差別はなくなる」

米軍撤退第一陣がアメリカ本土へ帰還した1969年。人々は「この戦争からどうやって手を引くか」を考え始める。戦争で億万長者の経営者となったニューは、戦況を見て一大イベントを興そうと画策。カンボジア国境付近「霧の王国」にはかつてヒカルと呼ばれた仮面の男が守護者としてたたずんでいた。

 

#62  怪物たち 「つまり医療によってすべての差別はなくなる」

米軍撤退第一陣がアメリカ本土へ帰還した1969年。人々は「この戦争からどうやって手を引くか」を考え始める。戦争で億万長者の経営者となったニューは、戦況を見て一大イベントを興そうと画策。カンボジア国境付近「霧の王国」にはかつてヒカルと呼ばれた仮面の男が守護者としてたたずんでいた。

 

#63  胡志明の死 「さらばだホーおじさん。二度と生きては会うまい」

196992日ホー・チ・ミン死去。おばあちゃんはベトナムの勝利は「果てしなく戦争を長引かせること」と考え、格闘技大会「胡志明杯」を立案。ニューのサポートで一大興行となりベトナム全土に招待状が配布される。

 

#64 戦争と娯楽「讃えるがいい。ハノイで始まるオリンピックを、レニ・リーフェンシュタールのように!」

ホアンキエム湖上に着々と闘技場が建設され「胡志明杯」の準備が整う。1966年アッテンボロー作戦の後日談が挿入され、瀕死のヤーボ大佐はヒルトン姉妹に捕らえられ北ベトナムへ送られる経緯が描かれる。

 

#65 開幕「史上最強の男たち、女たち、モンスターども…出てこいド!!」

年が明けて1970年旧正月ホアンキエム湖上でついに「胡志明杯」開催。玄武、朱雀、青龍、百虎の四つのブロックからなるタッグ・トーナメント戦。Aブロック第一試合、バオはチェンソー・ナースとともに鮮血の医療団から出場。在サイゴン華僑代表に勝利する。

 

#66 百匹の虎「百匹の虎の恨みつらみかいいだろうそれ総受けで。百匹まとめてかかって来い」

Bブロック第一試合クメール・ルージュ対米海兵隊レンジャー部隊戦はクメール・ルージュの勝利。Cブロック第一試合、特殊部隊犬アーロンと組んだヤーボ大佐と韓国軍猛虎師団から百匹の虎が激突。既にタッグ戦の意味はないが、百人を相手にヤーボ完勝。ほほに虎と同じ傷を刻む。Dブロック第一試合出場選手として、改造手術を受けたティム(通称ロボティム)がドクターMとともに登場。ヤーボは衝撃を受ける。

IKKI版『ディエンビエンフー』第12巻(小学館)

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#67 衝撃波 「出たああッ!! ドクター・メンゲレの超兵器。いまだベトナム戦争には投入されざるテクノロジーです」

Dブロック第一試合ドクターMとロボティムの対戦相手はオーストラリア軍代表アボリジニ音楽隊。音楽隊は敗北するが、ディジリドゥの衝撃波によりホアンキエム湖上の四つのステージが崩壊。水上闘技場は第二形態に移行する。 

 

#68 記憶の底「なぁアーロン。ティムを守ってやってくれ」

(※タイトルが26話と同じなので、正式タイトルは「密命」)

「蟲」たちは一晩で闘技場を建設。各ブロック第二回戦が全試合一斉に始まる。1966年瀕死のヤーボは敗れたティムの身を案じ、アーロンにティムの命を守ることを命じる。いっそ死を願うティムに対し、アーロンは左眼を貫いたマチェットを引き抜く。ティムの記憶はそこで途切れる。

 

#69 八強「ちょっと待て待て待て待ってくだちゃい」

「胡志明杯」ABCD各ブロックが二回戦を終え八強が出揃い、それぞれトーナメント戦を勝ち上がったチームに戦いが開幕。鮮血の医療団代表のチェーンソー・ナースとバオの前に、地獄の軍団の巨体が立ちはだかる。

 

#70 鋼鉄の男「オイラこそ真の鋼鉄の男(アイアンマン)。トニー・スタークも真っ青だぜ」

いよいよ「胡志明杯」三回戦。闘技場脇にはふと見詰め合うベトナム犬フンとアーロンがいた。勢いに乗るバオは両足のジェットを吹かしながら入場。地獄の軍団の一撃を食らうその瞬間、「超人バトル」を降りたはずのバオは鋼鉄を纏い超人化した。

 

#71 無口な女の子「ず…ず…ずず…好きいいいいいいいい」

鋼鉄のスーツをまとったバオは地獄の軍団を圧倒する。試合を傍観するチェーンソー・ナースの記憶が薄っすらとよみがえる。バオと出会った頃のこと、バオへの愛情。しかしそれを告げるのと同時にバオはナースを射殺。周囲が唖然とした隙に逃亡を図る。バオははじめから格闘大会に興味はなく、長いドクターMの支配から脱したかったのだ。

 

#72  番狂わせ「ババア!! あの日の借りを返すぜ」

ドクターMを除く鮮血の医療団を全滅させたバオは、米航空母艦フォレスタルへの通信をジャック。北爆再開を命じ、爆撃機がホアンキエム湖上の闘技場を完全に破壊。「胡志明杯」は中止となりニュー財団は莫大な負債を抱えることに。バオのビームが仮面を割り、ヒカルは1966年以来一瞬正気を取り戻しお姫さまと見つめ合う。1973年のタンソンニャット空港、ヤーボ大佐対おばあちゃんのリベンジ戦、復活を遂げた眼帯のティム、1954年ディエンビエンフーにてお姫さまが生れ落ちた瞬間など、さまざまな過去と未来が交錯し物語は途切れる。第三部未完。